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私たちの腸内フローラは、その人の腸内細菌の種類やバランスによって、3つのタイプに分けられます。さて、サロンWEBモニターの腸内環境検査の結果をもとに、今回は「プレボテラタイプの食事アドバイス」をお届けします!
腸内細菌の視点からのアドバイスは福田真嗣先生(慶應義塾大学先端生命科学研究所特任教授・株式会社メタジェン代表取締役社長CEO)に、食べ方やレシピについては牧野直子先生(管理栄養士)にお話をお聞きしました。
◆プレボテラ属の腸内細菌って、どんな特徴があるの?
プレボテラ属の腸内細菌は、穀類や野菜、豆類などの食物繊維を豊富に食べる食習慣の人に多い傾向が見られます。
日本人の10~20%がこのタイプ。 大麦やもち麦などを摂取すると、次の食事の後の血糖値が急上昇しないように抑える働きをする菌がいるため、糖尿病予防などにも役立ちます。
<表の見方>
・腸内に存在している腸内細菌の割合を、種類ごとに色分けして示しています。プレボテラは、真ん中付近のオレンジ色です。
・「代謝物質スコア」とは、腸内細菌が作り出す<代謝物質>を100満点で評価したもの。体によい「短鎖脂肪酸」が多いと数値が高くなり、大腸がんや肝がんと関係する「デオキシコール酸」が多いと数値が低くなります。
・腸内細菌の多様性は、数値が高いほど腸内細菌の種類が豊富で多様性が高いことを示し、6点を超えると高め。
※腸内フローラの3つのタイプは血液型と同じ。どのタイプが優れていて、どのタイプが劣っているというわけではありません。
◆腸内環境研究者・福田先生よりアドバイス
雑穀、豆類、根菜類など、いろいろなタイプの食物繊維をとろう
B子さんは、腸内フローラの多様性と代謝物質スコアがともに高く、腸内環境が良好です。プレボテラが多いので、血糖値が気になるようなら大麦を摂取すると血糖値改善効果が期待できます。
そのほかにもB子さんは、<短鎖脂肪酸>の一つである酪酸という成分を作ってくれるフィーカリバクテリウムが多いため、水溶性食物繊維を豊富に含むもち麦や海藻、納豆などをとることで、ほかの腸内細菌と協調して代謝物質スコアをさらにアップすることができるでしょう。
また、さまざまな食物繊維の分解能力があるバクテロイデスも比較的多いため、主食を玄米や雑穀などの穀物に変えたり、副菜にも海藻や大豆類などをプラスしたりするといいでしょう。ビフィズス菌の量がやや少なめなので、ビフィズス菌入りヨーグルトと一緒に、オリゴ糖(ビフィズス菌のエサ)を積極的に取り入れるのもおすすめです。
◆管理栄養士・牧野先生よりアドバイス
B子さんの食事のよいところ
夕食は和食が多く、品数が豊富。ごはんとみそ汁、主菜のほかに、ブロッコリーやトマトなど、5品も野菜をとっているのは立派です! いろんな種類の食物繊維の摂取を心がけているのがよいですね。副菜のきんぴらごぼうは1食分で2.2g、かぼちゃの煮物は2.5gと、繊維がたっぷりとれますよ。
★改善ポイントその1★
繊維をとるなら、生野菜よりも温野菜を
レタスのサラダは見た目の量が多く見えますが、実は水分量が多く、食物繊維量は少なめ。1日あたりの食物繊維量を増やすには、青菜や根菜、ブロッコリーなどのゆで野菜や、キノコなどを加えた温野菜のサラダがおすすめです。
野菜は加熱調理すると全体のかさが減りますが、食物繊維量は減らずにそのまま。温野菜にしてたっぷり食べることによって、食物繊維量が約2g以上アップします。生野菜のサラダを食べたいときは、食物繊維が豊富な豆類をトッピングするとGOOD。
★改善ポイントその2★
もち麦ごはんや、もち麦のちょいたしでファイバー美人に!
ちなみに、白米ともち麦を2:1の割合で炊く「3割もち麦ごはん」にすると、白米のみよりも、食物繊維量がぐんとアップします。
家族が白米を好む場合は、もち麦ごはんをまとめて炊き、1食分ずつ冷凍しておきましょう。また、もち麦をゆでて、50~100gに小分けにして冷凍保存し、ご自分のご飯にだけ加えてみても。スープやサラダにちょいたしすると、手軽に食物繊維量をアップできるのでおすすめです。
<3割もち麦ごはんの炊き方>
白米2合をとぎ、炊飯器に入れて目盛りどおりの水を加える。市販のもち麦100gと、水200mlを加えて炊く。
★改善ポイントその3★
朝食抜きは、食物繊維が不足する&太りやすくなる!
B子さんの朝は、お茶を発酵させたドリンク「コンブチャ」が定番とのこと。「糖質オフダイエットをしているから」などの理由で、朝食を飲み物だけですませたり、主食をとらない女性が増えていますが、腸の健康を考えるとこれはNG。
もっとも効率よく食物繊維を摂取できる食材は穀類なので、朝食で主食を抜いてしまうと、食物繊維不足になりやすいのです。
じつは、朝食で食物繊維をしっかりととると、昼食後の血糖値の急上昇が抑制され、太りにくくなるといううれしい効果も。ダイエットが気になるかたこそ、雑穀ごはんやライ麦パンなど、食物繊維の多い朝食にするのがおすすめです!
教えてくれたのは…
福田真嗣(ふくだ しんじ)先生
腸内環境研究の第一人者。株式会社メタジェン代表取締役社長CEO / 慶應義塾大学先端生命科学研究所特任教授。便を「茶色い宝石」と呼び、便に含まれる腸内環境情報から次世代の医療・ヘルスケア産業の創出を目指している。2013年文部科学大臣表彰若手科学者賞受賞。2015年文部科学省科学技術・学術政策研究所「科学技術への顕著な貢献2015」に選定。著書に「もっとよくわかる!腸内細菌叢 健康と疾患を司る"もう一つの臓器"」(羊土社)。NHKスペシャルやガッテン、情熱大陸などTV出演多数。
牧野直子(まきの なおこ)先生
管理栄養士、料理研究家、ダイエットコーディネーター。「スタジオ食(くう)」代表。体にやさしく、簡単でおいしいレシピを提案し、健康になるための食生活や栄養の情報提供をモットーにしている。テレビ、雑誌、料理教室、健康セミナーの講演、食品メーカーの商品開発など、幅広く活躍中。腸活やダイエット、メタボリックシンドローム対策向けのレシピが人気。主な著書に『もち麦でやせる!元気になる!』(主婦の友社)、『決定版 糖質オフのレンチンレシピ』(新星出版社)など。
取材・文/大石久恵