運用者モードではこのアクションは実行できません。
閉じる
私たちの腸内フローラは、各自が持つ腸内細菌の種類やバランスによって3つのタイプに分けられます。
今回はサロンWEBモニターの腸内環境検査の結果をもとに、「腸内フローラのタイプ別食事アドバイス」をお届けします。さて、みんなの腸内フローラはどんなバランスになっているのでしょうか。まずはバクテロイデスタイプからスタート!
腸内細菌の視点からのアドバイスは福田真嗣先生(慶應義塾大学先端生命科学研究所特任教授・株式会社メタジェン代表取締役社長CEO)に、食べ方やレシピについては牧野直子先生(管理栄養士)にお話をお聞きしました。
◆バクテロイデス属の腸内細菌って、どんな特徴があるの?
バクテロイデス属の腸内細菌は、人が消化・吸収できずに大腸まで届いた未消化の食物繊維などを分解する能力が高いことで知られ、体によい成分<短鎖脂肪酸>を増やすチカラを秘めています。
バクテロイデス属の腸内細菌は人種や性別を問わず、ほとんどの人の腸内に生息します。その中でもバクテロイデス属菌が多いバクテロイデスタイプは日本人の40~50%。動物性たんぱく質や脂質をやや多めにとっている人に多い傾向があるとされています。
<表の見方>
・腸内に存在している腸内細菌の割合を、種類ごとに色分けして示しています。緑色がバクテロイデスなのでかなり多め。
・「代謝物質スコア」とは、腸内細菌が作り出す<代謝物質>を100満点で評価したもの。体によい「短鎖脂肪酸」が多いと数値が高くなり、大腸がんや肝がんとの関係する「デオキシコール酸」が多いと数値が低くなります。
・腸内細菌の多様性は、数値が高いほど、腸内細菌の種類が豊富で多様性が高いことを示し、6点を超えると高め。
◆腸内環境研究者・福田先生よりアドバイス
食物繊維が豊富な食材や、ビフィズス菌のエサになるオリゴ糖を摂取しよう
A子さんの場合、腸内フローラの多様性はわりと高いのですが、代謝物質スコアが低いため、自分の腸内フローラに合った食事が十分にできていないと考えられます。野菜や発酵食品をそれなりに摂取しているようですが、バクテロイデス属が多いので、食物繊維が豊富な海藻や大豆をサラダに添えたり、主食に玄米や大麦、雑穀などの穀物を取り入れたり、パンもライ麦パンなどに変えてみましょう。
いずれもバクテロイデスがそれらを分解して短鎖脂肪酸を産生しますので、腸内環境を良い状態に保つのに有用です。また、ヨーグルトをビフィズス菌入りのものに変えて、さらにビフィズス菌のエサであるオリゴ糖をセットで取り入れましょう。
2週間続けてみて『おなかの調子がよい』と感じられたら、そのヨーグルトが自分に合っているサイン。変化が感じられない場合は、ほかの銘柄の商品も試してみましょう。
◆管理栄養士・牧野先生よりアドバイス
A子さんの食事のよいところ
夕食は一汁三菜。毎日納豆を食べているところがよいですね。納豆には納豆菌が含まれるうえ、1パックあたりで約3gの食物繊維をとることができます。
★改善ポイントその1★
ビフィズス菌入りヨーグルトにドライフルーツをプラスしよう
ビフィズス菌入りのヨーグルトにドライフルーツをプラスすると、ビフィズス菌とともに、腸内細菌のエサとなる食物繊維量をアップできます。
ドライフルーツは水分が抜けているぶん、少量であっても食物繊維がたっぷり。前の晩に食べやすい大きさにカットして、無糖のヨーグルトに付け込んでおくと、翌朝には水分を吸ってプルプルになるので、フルーティなおいしさも味わえるはず。おすすめはドライマンゴーやドライいちじくなど。食物繊維も1~2g摂れますよ!
★改善ポイントその2★
朝食のパンをライ麦などにチェンジして
「A子さんの朝食はパン食が定番。トーストやフォカッチャなど、白いパンが多いですね。
食物繊維量をアップするために、ライ麦や小麦胚芽入り、全粒粉など、雑穀入りの茶色っぽいパンにチェンジしてみましょう。ちなみに、ライ麦パンは食パンの2倍以上の食物繊維を含んでいます。
ナッツやドライフルーツ入りのパンの日もありますが、これはGOOD。食物繊維が豊富なので、おすすめです」 (牧野先生)
◆日本人の食物繊維摂取量は、かなり不足している!?
厚生労働省の食事摂取基準ですすめられている食物繊維量は、男性が21g以上、女性が18g以上です。ところが、日本の上のグラフにあるように、不足しているのが現状。
不足しているぶんを補おうとすると、20代はレタスなら1玉、バナナなら2本も食べなくてはなりません。毎回の食事で、食物繊維が豊富な雑穀類、豆類、根菜類、海藻類のいずれかを食べて、「食物繊維貯金」を心がけてみて!
教えてくれたのは…
福田真嗣(ふくだ しんじ)先生
腸内環境研究の第一人者。株式会社メタジェン代表取締役社長CEO / 慶應義塾大学先端生命科学研究所特任教授。便を「茶色い宝石」と呼び、便に含まれる腸内環境情報から次世代の医療・ヘルスケア産業の創出を目指している。2013年文部科学大臣表彰若手科学者賞受賞。2015年文部科学省科学技術・学術政策研究所「科学技術への顕著な貢献2015」に選定。著書に「もっとよくわかる!腸内細菌叢 健康と疾患を司る"もう一つの臓器"」(羊土社)。NHKスペシャルやガッテン、情熱大陸などTV出演多数。
牧野直子(まきの なおこ)先生
管理栄養士、料理研究家、ダイエットコーディネーター。「スタジオ食(くう)」代表。体にやさしく、簡単でおいしいレシピを提案し、健康になるための食生活や栄養の情報提供をモットーにしている。テレビ、雑誌、料理教室、健康セミナーの講演、食品メーカーの商品開発など、幅広く活躍中。腸活やダイエット、メタボリックシンドローム対策向けのレシピが人気。主な著書に『もち麦でやせる!元気になる!』(主婦の友社)、『決定版 糖質オフのレンチンレシピ』(新星出版社)など。
取材・文/大石久恵