運用者モードではこのアクションは実行できません。
閉じる
腸内環境を整えるには、善玉菌のエサとなる食物繊維を毎日欠かさずに摂取することが最重要。なぜなら、エサがなくなると善玉菌が減ってしまうからです。
食物繊維研究の第一人者、青江先生のお話の最終回は、食物繊維をたっぷりととるためのアドバイスをいただきました。「これなら私もできそう!」という方法を、ぜひ試してみてください!
◆食物繊維が「腸内フローラ」のバランスを左右する!
大腸に生息する腸内細菌は、種類ごとにコロニー(集団)を作って群生し、「腸内フローラ」(腸内細菌叢)を形成しています。
腸内細菌は、まんべんなく分布しているわけではなく、大腸の入口と出口付近では、すみついている菌が異なっていることがわかってきました。乳酸菌は大腸の入口あたりにいて、ビフィズス菌や酪酸産生菌は奥のほうにいます。
腸内細菌によって好む食物繊維の種類が異なるので、穀類、豆類、根菜類、海藻類、発酵食品など、いろいろなものを組み合わせて食べるように気をつけましょう。
◎大腸の入口から中間部に生息する腸内細菌が好きな食物繊維
・もち麦や押麦などの大麦
・豆類や豆乳
・ごぼう、玉ねぎなどの根菜
・キウイフルーツなど、熟したフルーツ など
◎大腸の中間部から奥のほうに生息する腸内細菌が好きな発酵性食物繊維
・全粒小麦、小麦ブランシリアル、玄米ご飯 など
◆専門家直伝の「食物繊維を上手にとるワザ」5選
1) ごはんは「色付き」に
「白米に押麦やもち麦などの雑穀を加えたり、さらに豆や海藻を加えるのもよい方法です。 枝豆を加えた豆ご飯、ひじきご飯、とろろ昆布を巻いたおにぎりにするのもいいですね。コンビニでおにぎりを買うときも、豆や海藻を加えたものを選ぶのがおすすめです」
2) 汁ものは根菜や麦をプラス!
「根菜を使った洋風スープに、麦をプラスするといいでしょう。ゆでた麦を小分けにして冷蔵保存(数日間OK)、または冷凍保存(2~3週間OK)すると、 スープやリゾットに加えることができて便利です。プチプチした歯ごたえがあって、腹持ちがよいですよ」
3) レジスタントスターチがとれる食品も活用!
「冷やすことで、第三の食物繊維と呼ばれるレジスタントスターチの量が増えるのはポテトサラダ。いんげん豆などの豆類は、温度に関係なくレジスタントスターチが豊富なので、煮物やスープに加えるといいでしょう。市販のミックスビーンズをサラダにトッピングするのも手軽です」
4)ライ麦パンや全粒粉のパンもGOOD
「まずは、食パンを食物繊維が豊富な″ライ麦パン″や″全粒粉のパン″に置き換えてみましょう。さらに、とろろ昆布とチーズをのせた和風トーストにすると、食物繊維がたっぷりととれます」
5)おやつにナッツを
「クルミやアーモンドなどのミックスナッツは、レジスタントスターチが豊富。ナッツは腹持ちがよいので、小腹がすいて間食したくなったときなどにおすすめ。甘いものを食べるよりもヘルシーです。1回に食べる量は小袋1袋(20~30g程度)が適量です」
◆専門家が実践している"腸活朝ご飯″
「私が腸活で大切にしていることは、朝食で『発酵性食物繊維』をたっぷりとること。セカンドミール効果(食べた直後と、その次の食事のときにも血糖値の上昇を抑えることができる)も期待できるので、ダイエットが気になるかたは、ぜひ朝食で食べてみてくださいね。
さまざまな種類の発酵性食物繊維を腸に届けるために、3~4種類のシリアルを常備しています。その日の気分で、それらを10gずつブレンドし、ヨーグルトをトッピングして、腸内細菌を元気にする乳酸菌、ビフィズス菌もあわせてとっています」(青江先生)
ちなみに、昼食では食物繊維の多い根菜のサラダを、夕食では主食を麦ご飯(3割のもち麦)にして、1日あたり20g以上の食物繊維をとるように心がけているそうです。
◎青江先生の朝食の定番メニュー
「オール(小麦)ブラン」「スーパー大麦」「もち麦」などのシリアルを常備しています。
「最近はコンビニの総菜などに、食物繊維の含有量が記載されているケースも増えてきました。まずは主食に大麦や玄米、雑穀をプラスして、豆類、根菜類、海藻類を意識してみましょう。食物繊維を着実にアップすることができます!」(青江先生)
青江先生の連載は今回で終了です。次回は美容皮膚科医の小柳衣吏子先生の「大腸と皮膚の関係」についてのお話です。
◆ためになる腸活アイディアが満載!
教えてくれたのは…青江誠一郎(あおえ せいいちろう)先生
大妻女子大学 家政学部食物学科教授。農学博士。日本食物繊維学会理事長。雪印乳業技術研究所を経て、2003年より大妻女子大学家政学部助教授に就任。2007年より現職。大麦の食物繊維とメダボリックシンドローム予防に関する論文にて、同学会賞を受賞。主な著書に『最強!毒出しごはん 3つの食物繊維が毒を排出 免疫力を高める!』(河出書房新社)など。
構成・文/大石久恵